開発独裁政権が経済運営に成功し(その指標として「年何%の経済成長率」がさかんに喧伝された)、その成果を国民に分配すると、国民の支持を調達して政治的正当性を高めることができる。開発独裁はそのようにして政権の維持を図ってきた。
中華民国や大韓民国では経済成長の結果、民主化運動が高揚し、開発独裁政権が打倒されるという帰結がもたらされた。また、政権に関わる人物やその一族による不正な蓄財、ファミリー・ビジネス、また、取り巻きや財界人・政商(クローニー)との癒着、収賄、レントシーキングが多発し、開発の恩恵が一部の人々によって独占されていることが明らかになると、開発独裁政権は急速にその正当性を失い、国内の民主化運動から重大な挑戦を受けるようになった。1986年のフィリピンにおけるマルコス政権の崩壊はその一例である。
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国際的な要因としても、東西冷戦が終結したことによって、西側諸国(とくにアメリカ)はアジア地域における反共政権の擁護に関心を失い、むしろその人権状況に厳しい認識を示すようになった。開発独裁政権にとって重要な後ろ盾だったはずの西側諸国の立場は変化したのである。
また、アジア通貨危機後の経済危機によって大衆の生活が危機的状況にさらされたインドネシアでもスハルト政権下での汚職・癒着・縁故主義を糾弾する大衆の街頭行動が引き金となって、1998年、30年以上にわたって長期政権を維持してきたスハルトは辞職した。現在でもシンガポールでは人民行動党による事実上の一党独裁制(ヘゲモニー政党制)が続いている。